【2019年版】離婚判例勉強会~その1「財産分与」~
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【2019年版】離婚判例勉強会~その1「財産分与」~
こんにちは。弁護士の川村瞭典です。
1. はじめに
弊所では毎年、1年目の弁護士が中心となって、所内事務スタッフに離婚に関する基礎知識や裁判例をレクチャーするという勉強会をやっています。これは、事務スタッフにも離婚に関する知識や事件の進め方のイメージをもってもらうことを趣旨とするものです。
が、1年目の弁護士はそもそも知識も経験もありませんので、毎回1人ずつ先輩弁護士が登場し、「この本にはこう書いてあるけど、実際のところどうなん?」みたいな質問を投げかけ、その回答を通じて、我々も一緒に勉強していくことも狙いの一つとしています。
弊所の取扱い分野の一角を担っているのが「離婚」です。各先輩弁護士にはそれぞれ個性が豊富かつバラエティーある経験があって、毎回勉強になり、面白いです。
今回のブログテーマは、第1回のテーマが「婚姻費用・財産分与」でしたので、その内の「財産分与」を考えてみたいと思います。
2. そもそも財産分与って何?!
離婚の話し合いをするときに紛争の種になる一つが「財産分与」です。ざっくり言えば、夫婦で一緒に買ったもの・貯めたものは半分に、という話です。
夫婦共々、日常生活を協力してきたのだから、その中で築いたものは、平等に半々で分けましょうねっていうのが民法の考え方です(もちろん、協力関係なしに得た自分の財産、例えば相続した財産や結婚前からある財産は、夫婦共同生活は関係ないので、分けるのはなしです(「お前の物は俺の物」というジャイアンの考え方は、財産分与の世界では通用しません))。
なので、いつの時点の財産を分けるの?ってことになると、それは、夫婦の協力関係が途絶えた時(もっと言えば、①離婚の前提で別居を始めた時又は②離婚した時)ということになります。
じゃあどう分けるかです。現金は半々、預貯金も半々です。分かりやすいですね。他にも、退職金、保険金、株式、貴金属、自動車…いろいろ分けるものがありますが、今後のブログテーマにします。
なお、紛争になると、離婚と財産分与の取り決めを一緒にやってしまうことが多いと思いますが、とりあえず離婚届だけ出した、という時に、相手方に財産分与を請求するときは離婚時から2年以内にしましょう。
3. マイホームはどうするの?
離婚した後どちらかが住むのか、どちらも住まないのか、売るのか、売らないのか、住むとしていつまで、どのように住むつもりなのか、など親や子供のライフプランが絡む問題があるからです。よく考える必要があります。
最もシンプルな分け方は、「住む方に家をあげる(名義を移す)こと」です。ただ、これでは、半分に分けたことにはなりませんので、住まない方にその不動産の価値に相当する金銭の半分を渡すことになります(ここで、査定が必要になります)。これで、不動産を清算した状態になります。
ところが、現実には、住宅ローンを組んでいるという場合が多いです。この時は、別居時又は離婚時の不動産査定額と住宅ローンの残額を比べます。比べて、査定額の方が高ければ、その差額の分だけ分ける対象になります。そうでなければ、不動産については財産分与の対象にはならないと考えられています。
なお、住宅ローンの支払方法(借金のてん末)もセットで考えましょう。例えば、住宅ローンの名義人がそのまま住み続けるときは問題にはなりませんが、そうでない場合もあります。
住宅ローンの名義人でない方が住み続ける一方で、名義人が支払いを続ける場合、ローンの名義人をもう一方に移す場合などのパターンがあります。ローンの名義人を移すとなると債権者(主にローン貸付の金融機関など)の同意が必要となりますので、そこの調整も必要になってきます。
次回は、結婚期間中の生活費(婚姻費用)の話をしたいと思います。お楽しみに!