最近の事業再生の傾向
といっても、企業法務族にとっては当たり前の話かもしれませんが。
以前から使い勝手が悪いなと思っていた民事再生手続ですが、事業再生の現場では、法的倒産処理よりも訴訟外の任意整理が主流のようです。
事業再生ガイドライン(GL)をはじめとして、裁判所を使わずして事業再生を図る手法がいくつか用意されていて、民事再生や会社更生よりも使われているとのこと。
裁判所を使った手続だと、金融債務だけでなく事業債務(例えば仕入などですね)も債権者を公平に扱うのが原則です。
そうなると、民事再生手続開始申立を行った瞬間に、仕入から何から一旦支払いをストップしなければなりません(原則として、です)。
債権者からすれば、そんな会社とは今後お付き合いしたくない、ということになります。
逆に債務者としても、債権者から取引を打ち切られないで済んだとしても、その後は現金決済を強いられたりして、資金繰りが急激に悪化することが多いです。
さらに問題なのは、法的整理を選択することによるアナウンス効果。
一般の人は、倒産と破産の区別もつきませんし、破産と再生の区別もつかない方も多いでしょう。
「ああ、あの会社は潰れたんだな」とアナウンスされてしまいます。
この点、任意整理だと、事業債権者に対しては引き続き取引を続けながら、金融機関とだけ交渉することも可能となります。
勿論、任意の手続ですから、「ルール無用のジャングル」で話し合いをしようとしても、交渉はまとまりません。
だからこそ、権威ある団体がガイドラインを作るわけです。
とはいえ、そもそも任意の手続ですから、ガイドラインに従わない、もっと柔軟な方法もとりえます。
例えば、特定調停をガイドラインと併用するのではなく、特定調停のみを使うこともあり得ます。
要は、様々な事業再生の方法があり、出来るだけそれらに対応出来るようにしたいというわけです。
そんな思いがあり、ようやく、中小企業等経営強化法に基づく経営革新等支援業務従事者の登録をしました。
とりあえず、これで私も、認定支援機関として、早期経営改善計画策定支援を行うことができます。
この手続の特徴は、専門家の支援を安く受けられるという点でしょうね。
金融機関への申し出が必要ですが、報酬の3分の2まで(但し上限20万円)、援助が受けられます。
認定支援機関としては税理士会計士、あるいは金融機関ばかりで、弁護士はあまり多くないのですが、法的整理も含めたダイナミックな事業再生を検討される方には、弁護士の助言が適しているのではないでしょうか。
中村憲昭法律事務所
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