偽装フリーランス ⑴
10日ほど前、相談者が、知多半島にある労基署の労働基準監督官から、相談者に「明確にあなたが労働者であることが認められないからこれ以上、契約先の会社に指導することができない」と言われた案件がある。
相談者の案件は、「労働署で『偽装フリーランス』相談窓口設置へ 新法施行の11月から」との毎日新聞の記事が報じている、労基署が「フリーランス新法」が施行される11月1日から「事業主と雇用契約を結ばないフリーランスでありながら、働き方の実態から労働基準法上の「労働者」に当たる可能性がある人の相談に」応じることにしたという記事に関連している。
と言うのは、記事の末尾に説明があるように、労基法上では「業務委託で形式上の雇用関係がなくても、指揮監督下の労働か▽その労働の対価として報酬が支払われているか▽勤務時間や勤務場所の拘束性があるか――などの観点から『労働者性』が判断され」、労働者性が判断されるのであれば、労基法が適用されることになる。
労働者性が認めれるのであれば、業務委託費を払わない委託者は賃金未払いとなり労基法32条違反になる。当然、その場合、労働基準監督官は委託者に労基法32条違反を是正させなければならない。
相談者は、派遣会社から派遣されていた派遣社員であったが、派遣社員から委託契約に切り換えて、委託ということで同じ仕事をしていた。
相談者の関係者は全員、野生の世界に生きていて、労働者派遣法に基づき作成されるべき文書は皆無で、派遣契約書、給与明細書すら受け取っていない。雇い主とは委託契約書の取り交わしもない。雇い主は「委託契約だ」と言い張っているが、労働者性が簡単に認められる案件であるはずである。
手抜きしているのであろうと想像される、労働基準監督官に問題があるのだろうが、電話でファイナルアンサーを確認したところ、「もう行政指導はしません」と言っていんたので、何か手だてをかんがえなくてはいけない。
相談者の案件が「フリーランス新法」の領域の問題だと気付かなかったのは迂闊だった。
「フリーランス新法」と呼ばれている「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」には目ぐらい通しておかないといけないですね。