刑事被告人でもあるトランプ氏、2事件では自ら恩赦も 大統領就任で
米大統領選で当選を確実にしたトランプ前大統領(78)は、大統領経験者として初めて起訴された刑事被告人でもある。起訴された四つの事件のうち、連邦法違反の2事件は、大統領に就任すれば起訴が取り消しになる見通しだ。米メディアによると、捜査を担ってきた特別検察官も当選確実を受け、捜査終結の検討を始めたという。
(11月7日朝日新聞から一部引用)
事務所のテレビを見ながら開票の報道を見ていましたが,早い段階でトランプ氏の勝利の雰囲気が漂いだし,事前の大接戦とは程遠い結果に意外な思いがしたのは私だけではないでしょう。
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トランプ氏は刑事訴追を受けている身にありますが,刑事訴追をされていたとしても公職に立候補することが可能であることは日米ともに同じです。
日本の憲法では,国務大臣は,在任中は,内閣総理大臣の同意がなければ訴追されないとしています。「国務大臣」の中に内閣総理大臣も含められると考えられば,内閣総理大臣は自身に対する訴追について同意するかどうか決めることができ,同意しなければ在任中は訴追できないという他の国務大臣と同じ立場に立つことになります。含まないと解した場合,内閣総理大臣については無条件に訴追できると考えるか,国務大臣よりも強い保護が与えられるべきであるとして完全に訴追できないと考えるか二つの説があります。
刑事訴追中の人を内閣総理大臣に指名したり,国務大臣に任命した場合どうなるのかについては規定はありませんが,憲法の趣旨を踏まえれば,公判手続きは停止するということになるものと思われます(ただし刑訴法にはこの場合を想定した公判手続きの停止についての根拠規定はありませんが)。
憲法
第75条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
現実には起こらないであろうどうでもよさそうな議論ではありますが,SNSが隆盛を誇る現代において,アメリカで起こった似たようなこと,「刑事訴追を受けた悲劇のヒーロー」として世論が祭り上げるなどということも絶対に日本で起こらないという保障はありませんので頭の体操をしておくのにもよいのかもしれませんね。
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