首相指名の特別国会、11日召集軸に与党調整 先行きは不透明
与党は衆院選で過半数割れとなったため、野党の意向によっては日程がずれ込む可能性がある。また、首相の指名も、1回目の投票では決まらず、上位2人による決選投票となる公算が大きい。
(10月28日朝日新聞デジタルから一部引用)
なんだかんだと言いながら、野党の一本化が成らずに批判票が分散した上で、自公両党の組織票の地力が出て与党での過半数割れまでは起こらないのではないかと思っていたのですが、投票率も上がらない中でここまでの結果となるとは予想外でした。
特別国会での首班指名も異例の展開となるようですが、内閣総理大臣の指名方法については両議院の規則がつぎのとおり定めています。参議員ではくじ引きが定めれているなど微妙に異なりますが、基本的には、まずは過半数を得た者が指名されたものとし、過半数を得なかった場合には決選投票により比較多数により指名するものと定めています。
衆議院規則
第18条 内閣総理大臣の指名については、記名投票で指名される者を定める。
2 投票の過半数を得た者を指名される者とし、その者について指名の議決があつたものとする。
3 投票の過半数を得た者がないときは、第八条第二項の規定を準用して指名される者を定め、その者について指名の議決があつたものとする。
第8条 投票の過半数を得た者を当選人とする。
2 投票の過半数を得た者がないときは、投票の最多数を得た者二人について決選投票を行い、多数を得た者を当選人とする。但し、決選投票を行うべき二人及び当選人を定めるに当り得票数が同じときは、くじでこれを定める。
参議員規則
第20条 内閣総理大臣の指名は、単記記名投票でこれを行う。
投票の過半数を得た者を指名された者とする。
投票の過半数を得た者がないときは、投票の最多数を得た者二人について決選投票を行い、多数を得た者を指名された者とする。但し、得票数が同じときは、決選投票を行わなければならない二人又は指名される者を、くじで定める。
今回の場合、議員での過半数を得なかったとしても内閣総理大臣の指名を得ることになりますが、憲法上問題はないのでしょうか。
憲法67条2項において両議院がそれぞれ指名の「議決」するとされています。
そして、憲法56条では両議院の「議決」の方法につき、出席議員の過半数で議決するとなっています。
憲法
第67条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
②衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第56条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
②両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
そうすると、過半数に満たない指名の「議決」は憲法に抵触するのではということも考えられますが、内閣総理大臣の指名は、賛成か反対かを決める「議事」とは性質が異なる選挙の性質をもつものとして区別され、過半数によって決するものではないとされています。